心地よい接客は魔法のスパイス。普段より数倍美味しく感じられるようになる
2016/02/06
僕は普段からスタッフに、
「飲食店は料理だけじゃないからね」
と言って聞かせています。
最近は日本の飲食店のホスピタリティの質がすごくあがってしまっているので、ちょっとした事でもお客さんは不快に感じるようになってしまいました。
同じ料理を出したとしても、お客さんが不快に思っている時には同じような味わいには感じられないというのを知っていますでしょうか?
今日はそんな話です。
Contents
同じ料理なのに違う味わいになるのはなんで?
僕は子供の頃に、大好きだった「廻っていない寿司屋」がありました。
子供のくせに贅沢と思われるかもしれませんが、そこの大将が握る、少し温かいシャリのお寿司がとても美味しかったんです。
ある日、そこのお店で大好物だったウニの軍艦を頂く事になった時、
ひょんな事から連れて行ってくれた祖父を怒らせてしまいました。
祖父に叱られながら食べるウニは全然味がしなかったのを覚えています。
このことから、料理は「その時の感情によって味わいが違う」という事を子供ながらに感じるようになりました。
そういえば、友達と野外で食べるBBQのお肉って、安い肉だったとしても格別に美味しかったりします。
帝国ホテルの村上シェフも「怒ると塩味がきつくなる」と仰っていたそうです。
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つまり、怒ったり嫌な気持ちになったりすると塩味を感じにくくなるんでしょうね。
人間の体のある種の防御反応とかで、そういう事が起きてもなんら不思議ではありません。
心地よい接客は普段よりもおいしく感じて貰える
僕の店に来てくれた方で、対応が悪く怒らせてしまった方ってだいたい食べログに悪評を書かれるんですよ。
で、その時の評価は必ず「美味しくない」というような事を書かれています。
これは、あながち間違いじゃないのかもしれません。
もし僕が初めて入ったお店で誰かに怒られながら食事をしたら・・・そのお店の料理を「美味しかった!」とは思えないんじゃないかと思うから。
なので、逆に心地よい接客を心掛けることで、普段よりもおいしく感じて貰えるのは確かだと思います。
とはいえ、心地よい接客というのがなかなか難しいんですよ。
心地よい接客とは・・高級レストランのような接客ではない
心地よい接客、なんていうと「お客様・・」みたいな、
ビシッと黒のベストで決めたような接客を想像するかもしれません。
でも、そういう事じゃないんですよ。
ホテルとか高級なレストランならまだしも、小さな一個人飲食店に出来る「心地いい接客」はそういう事じゃない。
つまりはお客さんがあなたの店に求めているであろうスタンスでの、ちょうどいい接客ということです。
例えばカフェにはカフェの、バーにはバーの「心地よさ」があるわけです。
しかも「話しかけやすい店主と空間」というカフェもあれば「厳格な店主が豆にこだわる」というカフェもありますよね。
それぞれに適した「ちょうどいい接客」が出来るはずなんです。
そうする事で、「この店はいつ来ても心地いいのよね」って言って貰えるんです。
心地いいという事は”特別感”を感じるスパイスとなる
心地いいって思ってもらえると、何でもないパン一つとっても「このパンはどちらのを使っているの?」「ここはパンも美味しいのね」と褒めてくれたりします。
実際に僕の店のお客さんが何人も言ってくれている言葉です。
本当に何でもない、業者から仕入れているパンでもです。
もちろん、そこらのヘボいパンではないですけど、特筆すべきような物でもないやつをです。
同様に、コーヒーなんかもスーパーで大量買いしたドリップ式のやつでも「ここはコーヒーも美味しいのよ」と言って貰えます。
決して、お客さんを騙してるわけでも馬鹿にしているわけでもないです。
美味しくないものを出しているわけでもないですよ。
ただ、特別なものを出しているわけではないのに、特別に感じて貰えるということ。
接客による魔法のスパイスがかかった、ってことですね。
もしかしたら、こういう話が嫌いなシェフもいるかもしれません。
「本当に美味しいものを作って、本当に美味しいものを食べてもらってこそ外食だ」って思うかもしれないですね。
でも、僕は外食をするのが好きで色々な店に行くんですが、「美味しい!」って思える店って、接客もやっぱり良かったりするんですよね。
シェフが「本当に美味しいものを出す」というのは、あくまでシェフの気持ちであって、
お客さんの気持ちを考えていない可能性があります。
食事って決して”料理だけ”じゃないと思うんです。
どんなお店で、どんな雰囲気で、誰とどんな話をしながら食べるか、ってところを無視してはいけません。
料理だけじゃなく、「食事」全体にスパイスを効かせてみてください。
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