新規出店、設計事務所か工務店か
僕が店舗の設計などを設計事務所にお願いする前、
先輩として飲食店を経営していた方にこんな質問をしました。
「ちゃんとしたところに設計から施工をお願いするのと、工務店で安く済ませるの、どちらがいいですか?」
その店主はこう答えました。
「おれは工務店で安く済ませたけど、今だったら絶対ちゃんとしたとこに頼むと思う。」
そこで「何でですか?」と確認すれば良かったんですが、その時に僕が思ったのは
「この人も安く済ませたんなら、僕もそうしよう」
と思ってしまいました。
質問した意味があったんだかなかったんだか、、、
結論としては、僕も「ちゃんとしたところにお願いした方がいい」と思っています。
Contents
飲食店専門の設計事務所に任せた方がいい理由
なぜかというと、
そこらへんの工務店さんは、素人だからです。
・・・なんていうと語弊がありますね。
飲食店を作ることには慣れていないからです。
工務店さんは、柱を建てたり壁を打ったり、水道を設置したりみたいな事は慣れていますが、
飲食店が効率的にまわるための導線などを考える事は慣れていません。
だから、上手に作れないんです。
とはいえ、営業を開始できる状態までは持って行けますよ。
でも、勘違いしてはいけないのは
営業を開始することがゴールではない
ということ。
そこがスタートとなって、日々そのお店で戦っていくわけですから。
一番戦い安い戦場を作り上げなければいけないのは想像しやすいと思います。
素人工務店に任せると危険な例
上にも書きましたが、導線などは飲食店の作りに慣れた人の設計でないと、うまく作れません。
導線がうまくできないという事は、無駄な作業が増えるという事です。
無駄な作業が増えるということは、無駄な人件費・光熱費が増えるという事にも繋がります。
また、自身の体力も無駄に削られていきます。
具体的にはこんな感じです。
バックヤードの考慮がなく、厨房に物を置くことになる
なぜ素人と呼んでしまうかと言えば、飲食店というものを外側からしか見えていないのでは?と感じるからなんです。
飲食店に置いて、厨房の広さやバックヤードの必要性は当然のこと。
でも工務店さんが飲食店に対して素人同然だと、その部分は言われなければ提案できません。
こちらが「バックヤードはこれぐらいとって・・・」と説明して初めて考慮してくれる、ということも。
厨房に不要な物が増えだせば、作業効率は当然ながら落ちます。
作業効率が悪いと、「厨房スタッフを増やすか・・・」となり、人件費がかさみます。
これはバックヤードがなく店内に物を置くようになった場合も同様で、
ホールスタッフが効率的に動けなくなると、「もう一人必要かな・・・」となり、人件費がかさみます。
そしてどちらも効率的に動けないから、必要以上に疲れます。
飲食店としてオープンした日から閉店する日まで毎日の事と考えた時に、
毎日無駄な出費が増えて体力が削られるのと、最初にちゃんとしたところにお願いして毎日の無駄遣いがないのと、どちらがいいかは一目瞭然ですね。
造作・設備を後でやり直す事になる可能性も
僕の店がまさにそうだったんですが、
例えば、換気扇と調理機器との計算が「机上の計算結果」に基づくもので、
実際の営業を想定したものではありませんでした。
おかげで煙は吸わないわ、大きな音で回転するわで、結局追加工事をする事になりました。
また照明のところでも書きましたが、照明の明るさ調節なども後で工事しなおしたり。
[参考]飲食店の照明による効果など
足りない棚なども自分たちで増築したりして、楽しくはありましたが、工賃はかかりますね。
まとめ
そういうわけで、導線やあとあとで工事が必要になる可能性などを考えても飲食店の設計は必ず飲食店専門で設計を行っている事務所にお願いするようにした方が、あとあとでいいと思います。
正直普段から「使いづらい・・・」と思いながら営業していると調理や配膳に集中できなかったり、サービスの質が落ちることも予想されますので。
また、店舗撤退時の造作買取にも関わるかもしれないと僕は思っています。
設計士さんは設計料を取るだけの仕事はしてくれます。
ちゃんと話し合って納得のいく自分の戦場を作りましょう。