異業種からの参入で小さな飲食店をやってるけど何か質問ある?小さな飲食店主の経営幼稚園

これから飲食店を始めたい方や既に小さい飲食店のオーナーをされてる方に役立つかもしれない情報を書いていきます。

飲食店って儲かるんでしょ!? | 飲食店を運営するのに必要な経費

 - 異業種から参入する人へ ,

      2016/02/05

僕はもともと異業種にいた人間なので、
今でもそっちの業界の社長さんとかに会うと

「飲食店って儲かるんでしょ!?」
「原価3割しかかからないんだもんね!?」

と言われます。

ちなみに経営をしたことがない友達からは、原価3割という部分も

「300円で仕入れたものを1,000円の商品にして売ってるのか!ぼったくりだ!」

とか冗談で言われたりしますが、
さすが経営者は考え方が逆でした(笑)

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正直、儲からない

儲かる、儲からないの基準がわからないので何とも言えませんが、
原価が3割だからって、残りの7割(粗利益と言います)が全部懐に入るわけじゃないんですから、
社長が思っている程儲からないですよ、と伝えます。

原価って、原材料だけの話ですからね。

しかも最近はその原材料だって高騰しています。
僕の友達も久しぶりにスーパーに行って

「えっ、たまごってこんなに高いの!?」

って驚いていました。

一昔前までは一パック100円してなかった気がする卵が、
今は200円するかしないか、みたいな感じですからね。

最近はどこも原価4割ぐらいと聞きます。
もちろんお店や業態によって違うとは思います。

参考までに、飲食店でかかる経費

月当たりでどれぐらいかかるのか、っていう計算です。

  • 食材費:売上の30-40%
  • 消耗品費:売上の1%程度
  • 広告宣伝費:売上の2%と言われている
  • 交通費:交通費のかかるスタッフがいた場合
  • 通信費:月額5,000円前後
  • 光熱費:売上の10%目安
  • 人件費:売上の25-30%
  • 地代家賃:売上の10%以下が理想
  • 産業廃棄処理費:月額1万円前後
  • 有線放送代:月額5,000円前後
  • 害虫駆除代:年額数万円程度
  • 修繕他積立代:店舗状況による
  • 保険代:年額3万円弱
  • その他費用:店舗状況による

一つずつ内訳を説明します。

食材費

言わずとしれた、商品を作る為の材料ですね。

「飲食店をやっている人専用の安く買えるルートがあるんだろう」

なんて思ってたら大間違いです。

個人の小さな飲食店に卸してくれる業者がそもそも少ないですし、
その価格も一般人が行ける市場とか大型スーパーと変わらないです。

むしろ特売とかをやる普通のスーパーの方が安い。

だけど、グランドメニューをキープする為には安定した食材の入荷が必要だと思うと、
そういう意味では飲食店専門の大型スーパーとかは助かりますね。

飲食店の営業許可がないと会員カードが作れませんが、METROとかが有名です。
METRO|会員制業務スーパー

消耗品費

紙ナプキンだったり、卓上にスパイスを置くならそれらも全部「消耗品」ですね。

あとはトイレットペーパーだったり、清掃用具だったり。
厨房で使うキッチンペーパーとか洗剤、スポンジなんかもそう。

個人的には食器を拭くクロスとかも消耗品だと思います。

僕の店は1%程度に収まっていますが、どこまでこだわるかで変わってきそうですね。

広告宣伝費

僕の店みたいに、駅前でもなく人通りも少ないような立地でやってたら特にですが、
宣伝広告は欠かせません。

一般的には売り上げの2%以内に収まるようにと言われていますが、
正直、今のご時世それは無理じゃないかな・・・?と思っています。

スタートダッシュに長けていて、すぐに口コミが広がって、
ほとんど宣伝しなくてもお客さんがわんさか来るようになるなら話は別です。

でもじっくりと着実にお客さんを増やしていきたいのなら、
まずは「店を知ってもらうこと」から始めなければなりません。

そう考えたら宣伝広告が欠かせないんです。

食べログ・ぐるなび・ホットペッパーなどのウェブ媒体が大体10,000円/月ぐらいから。
駅の看板なら半年で20万~みたいな感じ。
地域広告紙なら1/4ページ6号分継続掲載で1回あたり1万5,000円ぐらい。
チラシ配布なら新聞折込を使って5,000部あたり50,000円ぐらい(印刷代含む)

僕はFacebookの広告なんかも手を出しましたし、
場合によってはYahoo!やGoogleのリスティング広告もいいと思います。

月の売上が200万円だったとして40,000円に収まる広告を打つというよりは、
200万円売る為に、どの広告にいくら投資するか、みたいな感じだと思います。

ただし、広告も闇雲に打てばいいわけではなく、あくまで自分のお店のターゲットが見ていそうな媒体を選ぶ事が必要です。

交通費

当たり前ですが、交通費がかかるスタッフがいればその費用はあなたが負担します。

これはいくらまで負担するか決めて募集をかければいいですね。

あとはあなたがお店の近くに住んでいるのでなければ、
あなたの交通費代も考慮しなければなりません。

通信費

飲食店なら電話の設置が必須ですよね。

電話って、なんか電話権みたいなものを買って・・・とかって話があったので
僕はインターネット回線を申し込んだ人が加入できる「ひかりエース」っていう電話のサービスを使っています。

なので、フレッツ光とひかりエースで基本使用料が5,000円前後だったかな。

こちらから電話をかければもちろん電話代もかかりますし、
飲食業界って仕入れ先とかがまだまだFAXを使っているところが多かったりするので
そのあたりの考慮も必要かもしれません。

(うちはメールか電話で取引できるところとしかしないようにしました)

光熱費

ガス・水道・電気ですね。

一般的には売り上げの10%弱ぐらいと言われていますが、
売上に比例して上がるような物ではないと思うので、なんとも言えません。

例えば調理をするのに必ずガスを使うのであれば、
売上が上がれば使用頻度も増えて費用もあがるでしょうし、

お客さんの数が増えれば、トイレを利用する頻度も増えるので
下水の値段があがるなんて事もあると思います。

でも基本は10%とかの変動費ではなく月々これぐらいっていう固定費になってくるかなと思います。
変動はするけど固定費、みたいな。

ちなみに僕の店は調理器具が電気(200Wのやつ)かつ、営業中はつけっぱなしなので電気代がバカ高いです。

人件費

自分以外の働いているスタッフの費用です。(奥さんや家族も含む)

自分一人で回せる店なら、第三者にかける人件費は0円。

人件費と食材費を足したものをF/Lコストと呼ぶんですが、
これが売上の60%未満になるように組まないとうまくいかないと言われています。

食材費が30-40%なので、人件費は20-30%ってとこです。

月に200万円売る店なら40万円まで人件費にかけられるというわけですね。
自分の人件費を考えたら、社員一人雇えません。

地代家賃

自分の持ち家で開業するのでない以上は、毎月必ず家賃が発生しますよね。

これも売上の10%未満に抑えるのが鉄則です。
オープン前に「この土地なら200万円売れる」と思ったら20万を切るように大家さんと交渉しましょう。

必ずしも10%を切らなければならないというわけではないですが、
交渉でそこが叶わないようなら、辞めておいた方が無難かもしれないです。

また、賃貸物件というのは更新という意味のわからないイベントがあり、
その時にはしっかりと家賃を一か月分持って行かれますので、
例えば家賃24万円、2年更新の物件だった場合は2年後に余分に24万円かかる事を念頭にいれておきましょう。

月家賃24万円、2年更新の物件の場合
1ヵ月後 24ヵ月後 合計
24万円 24万円 24ヵ月×24万円=576万円
24万円 24万円+24万円(更新料) 24ヵ月×24万円+24万円=600万円

つまり更新料の分、1ヵ月あたりの家賃が実質1万円高くなるわけです。

産業廃棄処理費

実は飲食店はゴミを勝手に捨てられません。

特定の業者に依頼して回収してもらう必要があります。

グリストラップから出る油のゴミなんかはもってのほかです。

これが、店舗から出るゴミの量によって異なるとは思いますが、
小さい飲食店なら大体1万円前後ではないでしょうか。

有線放送代

「うちはCD流すから有線は要らない」

なんて言っていると、某著作権管理団体(カスラックだっけ?)から高額な使用料を請求される事があります。

どうやらスピーカーを設置しているだけで、
オリジナルの音楽を流しても著作権物の使用料金が発生するそうです。

だったら有線入れちゃった方が楽だなと思って、僕の店は有線放送の契約を結ぶ事にしました。
(有線放送の契約を結ぶと、著作権管理団体への上納をしている事になるんだとか。)

なんだかんだ毎日どのCDをかけるか悩むよりも、
同じジャンルのチャンネルを流し続けてる方が楽だったりもします。

サービス提供の会社によって違うと思いますが、5,000円前後。

害虫駆除代

飲食店で、絶対的に印象が悪くなる害虫・・・Gですね。

古い飲食店だとアレの茶色いやつが大量発生したりします。

昔(20年くらい前)、改装前の京都駅の地下にある飲食店で、
何気なく席の横にあった棚を見たら、大量にいまして。
瞬時にオーダーもせず店を飛び出したのを覚えています。

知人の店も駆除業者にお願いしているけれど、
ディッシュアップのカウンターの上を茶色いのが歩いている事がよくあるとか。

僕はそもそも虫が大の苦手なので、
業者さんに「絶対に出ないようにしてください!!!」とお願いして、
ベイト剤の塗布をして貰っています。

それでも黒い方のGはどこからか入って来ちゃうんですけどね・・・。

いずれにしろ年額で数万円は見ておいた方がいいかと思います。

G以外にも、グリストや洗面所からコバエみたいなのがわいたりすると最悪です。

修繕他積立代

意外と見落としがちなのがこれ。

調理に必要な器具から機材、お客さんが使うテーブルや椅子はもちろんの事、
「えっ、こんなものまで??」
っていうものまで急に壊れたりします。

そういうもんなんです。

オーディオだったり、レジだったり。

あとはダウンライトの電球だったりもそう。
これは消耗品かな。

そういうのが幾度とない出費として表れてくるので、
都度対応できるように貯めておいた方がいいかなと思います。

保険代

主に火災保険とPL保険の加入はしておいた方がいいと思います。

火事があった時、外部に起因するものなら、
建物の保証は大家さんがしてくれます。

が、それであなたの店が全焼しても、
そこにあった資産は誰も保証してくれない可能性が高いです。

また、あなたの店から火災が起きた場合には、
あなたが全ての責任を負わされる可能性も。

そう思ったら火災保険には入っておきたいところです。

あとは店内で怪我をしたとか、食中毒になったとか。
そういう時の為にPL保険というのに加入しておきましょう。

どちらも管轄の保健所が共済を持っている場合があるので
一度相談しておくといいです。

僕は個人の任意保険に加入して、年間3万円弱でした。

保健所の共済なら1万円弱ぐらいだったと思います。

その他費用(販促費含む)・小型、大型

他にも臨時でかかる費用として、

  • 販売促進費:メニューブックを刷新したり、POPを作ったりする費用
  • 小型設備費:ちょっとした飾りを買ったりする費用
  • 大型設備費:機材を買い足したりしたときの費用

があったり、
スタッフを雇った場合には

社会保険費

を考慮にいれなければなりませんね。
そして売上が月に100万弱に届いているのなら、2年後から

消費税

の納税も発生します。

経費だけじゃ計れない

ここまで色々な費用を考えて、
それでも「原価3割なら楽勝じゃん!」と言えるのなら、
飲食店は儲かるのかもしれません。

僕だったら、その理論で言えば、
「美容室って儲かるんじゃね!?原価ってシャンプーとかパーマ液代ぐらいでしょ!?」
って思っちゃうけど、やったことないから言えません。

あと僕が前にいた業界はITなんですけど、
基本は人件費しかかからないのでめっちゃ儲かると思います(笑)

・・・ビジネスには「経費」だけじゃ見えない部分がありますね。

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