「美味しければいつかはお客が来る」なんて言ってる店主は自分の事しか考えてない証拠
お客さんが来ていないお店の店主に話を聞くと、
やっぱりいまだに「美味しければいつかはお客さんが来てくれるから」なんて言ってます。
僕は「いい加減に時代を見なさい」と言いたいんですが、
なかなか先輩の店主の方に言うのは気が引けます。
・・でもそれで潰れられても寂しいし、何度となく言ってみたりはしたんですけどね。
やっぱり店主自信の気持ちが変わらなければダメですね。変わりません。
さて、僕はこの「美味しければいつかは~」ってフレーズを聞き飽きるほど聞いてきて、思う事があります。
それは
「あれ、この人、自分のことしか考えてないじゃん」
ってことです。
なぜ「美味しい料理を提供すること」が自分勝手に繋がるのか
まず大前提として、
お金をもらえるってどういう状況だと思いますか?
世の中の仕事全般に言える事なんですが、
お金を頂くというのは、「人の役に立った」という事の見返りです。
これでお金をもらわなければボランティアになりますし、
人の役に立たずしてお金をもらったら「詐欺」です。
飲食店においてのお金をもらえる状況というのは、
「食事をして満足した証」だというのはわかりますでしょうか。
決して「美味しい料理を提供した代金」ではありません。
主役はお客
この2つは全然違うんですが、なかなか理解できない方が多いように思います。
じゃあ、お金をもらう時の行動に「主語」をつけてみてください。
これでよくわかるようになると思います。
「お客さんが、食事をして満足した(証)」
「料理人が、美味しい料理を提供した(代金)」
お客さんがお金を払うという状況において、
”お客さんが満足した”のか、”料理人が満足した”のかという違いがあるわけです。
実は世の中のうまくいかないサービスの多くは、この前提が狂ってる事がよくあります。
これはみうらじゅん氏が著書において、「仏像を主役にするには・・」と書かれていたのがわかりやすいかもしれません。
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あなたのお店は誰が主役ですか?
さて、ではあなたのお店について考えてみてください。
「美味しければいつかはお客さんが来てくれる」という話は、
一見すると「お客さん」が主役かのように思います。
でも、果たして、あなたのお店のお客さんはあなたのお店に「美味しさ」だけを求めていますでしょうか?
極端な事をいえば、あなたのお店で食べられる商品が、
今の100倍の価格になってもその「美味しさ」を求めてきてくれるんでしょうか??
僕は、「お客さんに美味しい料理を提供したい」というのは、お客のニーズではなく店主のこだわりのような気がしてなりません。
あなたが”やりたいからやっている”お店、という印象です。
本当にお客さんが求めている事を考えた結果、「美味しければ~」という答えにたどり着きましたか?
芸術家とビジネスアーティスト
とはいえ、それはあくまで「ビジネス」と考えた時の話です。
世の中には「売れなくてもいい」という芸術家がいるのも確か。
そういう方は自分がやりたいからやっています。
BOΦWYというバンドが解散したキッカケも、
芸術家になるのか、ビジネスとしてやっていくのかで意見が割れたからだという話を聞きました。
僕は、あなたが芸術家なのであれば、これ以上いう事はないと思っています。
究極の美味しい料理を追及していってください。
うまくいけば、いつかはお客さんが爆発的についてくれるようになります。
でも、うまくいかなければ、いつまでもお店は苦しいままですし、
資金繰りも苦しくなれば閉店にもなりかねません。
閉店になれば、お金を貸してくれた銀行にも迷惑がかかりますし、
あなたを信用してくれた不動産屋さん、大家さんの顔にも泥を塗ることになります。
なんだったら、働いていたスタッフ、家族、
そしてお客さんの期待をすべて裏切ることになります。
それでも「美味しければいつかは・・」というのなら、それは自分の事しか考えていないという証拠だといえませんでしょうか。
おわりに
ちなみに、こういう事を書くと
「料理が美味しくなくてもいいのか」と疑問に思うかもしれません。
決してそんなことはないです。
今や飲食店は全体のレベルがあがっていて、
「美味しいのはあたりまえ」というところにまで来ています。
個人店には、そんな飲食店全体において抜きんでる美味しさが求められるのも一理あります。
あとは個人店だから出来るサービスや接客なんかもそうですね。
でも僕だったら、「抜群に美味しい」というだけでお店を選んだりはしません。
お店選びにはその他のいろんな要素がかかわってきているんです。
あなたがいったい誰に来て欲しいと思っていて、
その人があなたのお店で「ほかのお店では経験できないような得をすること」は一体何なのか?
単純に美味しい料理を追及するのではなく、こういった部分に目を向けて行かなければなりません。
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