異業種からの参入で小さな飲食店をやってるけど何か質問ある?小さな飲食店主の経営幼稚園

これから飲食店を始めたい方や既に小さい飲食店のオーナーをされてる方に役立つかもしれない情報を書いていきます。

飲食店を独立開業する時に、現場から見て本当に必要なこと

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      2015/11/03

飲食店を自分で独立開業する時に必要なことを、現役の飲食店主による現場目線で考えてみました。

  1. 開業・運転資金の調達
  2. 営業許可申請
  3. 衛生責任者
  4. 防火管理者
  5. 仕入れルート
  6. 職人ではなく商人であること
  7. マーケティング(経営戦略・差別化)
  8. 心理学・コピーライティング
  9. 想い
  10. お客さん

ざっとこんな感じです。
一つずつ、なぜ必要なのか説明していきます。

開業・運転資金の調達

これは当たり前ですね。(笑)

居抜きにせよスケルトンからの工事にせよ、開業時に「保証金(敷金)」「前家賃」「仲介手数料」などの物件取得費、「設備資金」「造作譲渡(居抜きの場合)」などの投資費用、「食材費」「人件費」「地代家賃」などの運転資金が必要だからです。

保証金(敷金)

家を借りる時と同じで、あらかじめ大家さんに預けておくお金です。
退去する時にスケルトンに戻す際にかかる費用や、家賃滞納時などに活躍します。

だいたい家賃の6か月分(前後)が必要になってきます。が、退去時に残っている分は返金されます。

前家賃

家賃は基本的に前払いなので、あなたが営業を始めたい月の分の家賃は前の月に支払う必要があります。
もし、スケルトンで借りて工事に3か月かかるのであれば、その期間も家賃は発生します。

仲介手数料

間に不動産屋さんが入っていれば、あなたと大家さんとを仲介した手数料を支払う必要があります。
だいたい家賃の1か月分です。

設備資金

スケルトンからのスタートなら設計料から工事費、工事にかかる材料費などが必要になります。
業者によりけりですが、15-20坪でも400-800万円を見ておく必要があります。

中には格安の業者さんもいますが、10年20年と営業を続けるつもりなら、飲食店の設計・工事に実績のある業者さんにお金を積んだ方が結果的には安いです。もしそんなに続けないつもりなら居抜きを選ぶ方が賢いと思います。

また、スケルトン・居抜きに関わらず、あなたが営業を開始するのに必要な機材をそろえる資金も必要です。(調理器具、什器含む)

造作譲渡金

居抜きの場合は工事費用がほとんどかからない代わりに、前オーナーが残していった機材や設備の買い取り資金が発生する場合があります。

基本的には中古での購入なので保証がない点が難点ではありますが、自身で全て揃えていく事を考えると断然居抜きの方がオススメです。

食材費

営業前には食材や仕込んだ料理を用意しておく必要があります。
現金で購入するのであれば、その資金を事前に準備しておかなければなりません。

ちなみに僕はRYQUE(リクエ)という業務用食材・資材の卸売サービスを利用しています。
ネットで注文しておいた食材・資材を当日~翌々日(地域によって)に届けてくれる画期的なサービスです。
さらに、月の注文総額が75,000円を超えれば翌月の送料が毎日無料です。
取扱い商品も9,000点と、ここだけの利用で十分食材・資材が揃います。
何より支払が月末締めの翌月払いなので現金を用意しておかなくてもいいのも利点ですね。

あとはコストコメトロ業務スーパーをたまに利用しますが、こちらは基本的に現金での支払いになるので事前に資金が必要です。

近くにあれば、西友のネットスーパーイトーヨーカドーのネットスーパーでクレカで買っても現金不要ですね。

人件費

何気に忘れがちなのが、人件費。
とくに自分たちの給与です。

最低限でも生活できるだけの資金数か月分を用意しておかないと、いざ自分たちが生活できなくなってきた時に身動きが取れなくなります。

経営をやっていて一番NGなのは、動きが止まってしまう事だと思います。
動物の亀って、攻撃すると頭や手足を甲羅に隠して身を守ろうとしますよね。
災難が去ったと思った頃にそろそろと頭を出して、ゆっくり動き出します。
でも災難が去るまで身を隠すのもいいんですが、その間は身動きが取れないので次の災難が来ても動く事すらできないわけです。

自分の生活費が確保できなくて、確保できるようになるまで広告費を抑えよう・・・なんて考えていると、次の災難、また次の災難が来る可能性があるって事を頭に入れておかないといけません。

そうならない為にも自分の生活費を数か月分(少なくとも3~6か月)は確保しておきましょう。
ギリギリ生活できる費用ではなく、欲しい物をある程度買えたり外食できたりする金額で。

地代家賃

毎月の家賃も3~6か月分を考慮して用意しておくと気持ちが楽です。

ちなみに、事務所の家賃には消費税がかかってきますので、提示された額面×消費税率分が上乗せされる事をお忘れなく。

営業許可申請

これはもう絶対必要です。
出店する地域の保健所から営業許可を貰わないとスタートできません。

許可が下りる基準はその地域によって異なりますが、基本的には食中毒などの問題が起きないような設備である事だったり、清掃しやすい設備である事が重視されます。

もちろん中には「え、これ何の意味があんの・・・」というような判断基準があったりしますが、あちら側のスタンスとしては「何かあってからでは困るので、万全を期した設備」という基準になっているので、工事に入る前に相談しておくべきです。
(工事業者や設計士さんが相談してくれる事もあります)

どちらにせよお役所仕事感は否めないので、保健所とは揉めるだけ無駄です。
事前に確認しておきましょう。

食品衛生責任者

保健所の許可を取る際にも必要になりますが、食品衛生責任者の設置が義務づけられています。

食品を扱う上での基本事項を押さえておく為に必要な食品衛生責任者の講習を受ければ交付されるものなので、飲食店の経営者もしくは調理スタッフを責任者に任命するようにしましょう。

防火管理者

消防署の講習・訓練を受けることで交付されます。
難しいことはありませんが、お店をオープンしてから定期的に消防訓練などを行うなど面倒な仕事が待ってます。(笑)

仕入れルート

上記の「食材費」の項でも触れましたが、飲食店である以上は食材の仕入れが日々の作業になってきますよね。
それも安定した食材を入れられることが必須条件になってきます。

ちゃんとした仕入れルートが確保できないと、その日その日によって質がバラバラだったり、場合によっては「今日は入荷しません」なんてことがあったりするんです。
「今日はお客さんがいっぱいくるぞ!」なんて日に限って「今日はこの野菜が入荷できなかったんですよー」なんて言われたりするんですよ。不思議なものです。

そうならない為にもある程度安定した入荷が見込める仕入れルートが必要です。

商人のスタンス

こんな中盤に持ってきてしまいましたが、実はこれが1番か2番目に大切なことです。

飲食店を経営するということは、社長になるという事です。
社長になるということは、利益を出して社員に給与を払うという事です。
一人または家族で経営するのなら社員は自分という事になりますが、どちらにせよ利益を出して給与を払うという事からは逃れられません。

となると、「利益を出し続けられること」が求められてきます。

いつ、いかなる場合でも「商品を売る」という事に頭が向いているかどうか。
それが問われてきます。

江戸時代の身分制度で「士農工商」というものがあったのをご存知でしょうか。
武士が一番偉く、農民、職人と続いて商人が一番低い階級というものです。
※現在の研究では身分を表すものではなかったという説もあります。

僕は、これは現代でこそ生きている身分制度だと思っています。
政治家が一番偉く、農民、職人と続いて商人が一番低い。
その証拠に、お役所の人達は飲食店などで偉そうにしていますからね。(笑)
どうも日本人に根付いている感覚なのかはわかりませんが、「お金を払う人が偉い」という感覚が抜けていないのも事実です。(それなら税金払っている国民は全員政治家より偉いはずなんですけどね!!)

そういう立場に置かれながらも「商人」として物を売っていけるかどうか。
商人であることに誇りを持ち、どんな待遇を受けようとも「商品を売って対価を得る」という事に集中できるかどうか。

飲食店はその性質上、料理人がオーナーとなる場合が多いです。
料理人は職人なので、いかに美味しい料理が作れるかに集中しがちですし、場合によっては「これがわからない奴には食べて貰わなくて結構」という考えになることもあります。
それが「戦略」ならそれでいいと思うんですが、単なる自分の「こだわり」でお客を拒否してしまうのは商人としては良くないです。

また、損得勘定もしっかりと出来ないとダメです。
よく「損得で考えるようになったらおしまいだ」みたいに言う人がいますが、あくまで「お客さんを得させて、結果自分も得をする」という考えがないと、自分ばっかり損をするようになってしまいます。

とにかく商人として、社長として、お客さんを喜ばせてお店に利益が出て、自分を含む社員に給与を支払えることが必須です。

マーケティング(経営戦略・差別化)

これも職人型の人が忘れがちな項目で、でも飲食店を経営すると思ったら絶対に必要なことです。

飲食店の経営もビジネスなので、それを取り巻く環境は「戦場」です。
経営戦略というのは、そんな戦場を戦い抜く、勝つ為の作戦のこと。
戦場では「どんな場所で戦うのか」「どんな武器を使うのか」「どんな陣形でいくか」みたいな作戦を立てると思うんです。これを自分の店にもあてはめなければダメなんです。

どんな人が住んでいる土地で、どんな人を相手に商売するのか。
その人たちは何が好みで、どれぐらいのお金を使えるのか。
他所の店に比べて自分たちが主張できる強みは何か。
どんなメッセージで訴えていくのか。 など。

お客さんが他の店に比べて、あなたの店の商品やサービスを良いと思うようなことがあれば、それが差別化です。
※あなたが良いと思うことではなくて、あくまでお客さんが思うこと。

そんな差別化を考えるのもマーケティングです。

心理学・コピーライティング

商人である事のつぎに大切なのが心理学とコピーライティングかもしれません。

現代社会において、人が何かを選択する際には必ずといっていいほど「心理学」が裏で作用しています。
たとえばあなたが今使っているスマートフォンだったり、今着ている服だったり。
今の生き方だってそう。もしかしたらあなたの奥さんもそうかもしれません。
何かを、誰かを選ぶ時にはその裏の心理をくすぐられていることがほとんどなんです。

簡単な例だと「バンドワゴン効果」とか「集団帰属欲」とかがあげられます。
日本人は知らないうちに「みんなと同じ」を欲する傾向にあります。
だから、“外に行列が出来ている店”と、“閑古鳥が鳴いている店”だったらどちらを選ぶかといった場合に行列が出来ている店を選びたがる性質なんです。(もちろん全員ではありません)
面白いもので海外だと「なんでわざわざ並ばなきゃいけないの?」って理由でガラガラのお店を選ぶなんて事があるみたいですが、逆に僕には理解できません。(笑)

この心理作用を狙って、あえて外に行列を作らせるというテクニックを使っているお店さんもあります。

これは本当に簡単な例で、実際にはもっと緻密に練られた“心理をくすぐる表現”があなたの周りには(気づいていないだけで)たくさんあるんです。

こういう話を書くと「ずるい」とか「姑息だ」とか言われちゃうんですが、現実問題として飲食店はお客さんに選んで貰わないことには話になりませんよね。
実際に「美味しい」かどうかより先に「美味しそう」と思えるか、「食べてみたい」と思えるか、「お店に入ろう」と思えるか・・・という壁を崩さないといけないんです。

そんな人間の心理を操作する手段の一つとして「コピーライティング」があります。
例えば、「おいしいカレー」と書くのか「厳選した10種スパイスと30時間煮込んだ無農薬の野菜、希少な種類で“幻の鶏肉”と呼ばれる肉で作った贅沢なチキンカレー。一日限定20食」と書くのかで、同じカレーでも食べたいと思う度合が違うというのは体験したことがあると思います。

よく料理人の方は「美味しければきっとわかってくれる。いつかはお客さんが来る」と言っています。僕の知人のフレンチシェフもそうでした。
それは間違いではないと思います。いつかは来てくれると思いますし、美味しい物を提供していれば必ず伝わると思います。
でも、その「いつか」がいつ来るかはわからないし、伝えようとしなければ正しく伝わらないこともあります。

伝えなければ伝わらない。

きっとわかってくれるお客さんがいつか来るその前に、お店が潰れてしまっていては意味がありません。
僕は、美味しい物を作っているんだからこそ、ちゃんと人間の心理に働きかけるようなコピーを書いて伝えていき、長くお店を続けていってほしいと思っています。

想い

じつはこれが一番大切なことなのかもなーと思います。

つまりは、「誰を笑顔にさせたくてそのお店をやるのか」ということ。

もしそれが「自分自身が笑顔になる為に」なのであれば、お客さんからしたら知ったこっちゃないわけです。自分がお客さんだったとして、料理人が自分の満足の為だけにやっている飲食店があったら通いたいですか?って話です。

お客さんは自分がどんな得をするのか。どんな驚きで、どんな笑顔になれるのかにしか興味がないんです。それを得られる代わりにお金を払ってくれるんです。

だったらあなたがお客さんに与えることができる物は何なのか。

「美味しい料理」とかではないです。
どんな事に興味があって、どんな過去をもっていて、どんな気分で訪れた時に美味しい料理なのか。
その料理によって、どんな状態になれるのか。

そういう想いが必要です。これが経営戦略・差別化にもつながってきます。

お客さん

当たり前ですが、お客さんが来ないお店に価値はありません。

僕は前まで「おしゃれでこだわりの店をやっていること」がカッコいい事だし、価値がある事だと思っていました。
でも、実際には「おしゃれじゃなくても、こだわりがなくても、お客さんで溢れている店」がカッコいいんです。

近所の事務所の人が地元のお祭りで出店した時のこと。
とてもカッコいいブースを作って、カッコよく販売をしたのですが、一番売れていませんでした。

「一番カッコよくやって、一番売れなかった(苦笑)」

と言っていました。

遊びならそれでもいいけれど、仕事としてやるなら売れてなんぼですよね。
しかも売れていない店ははたから見てて悲惨です。

そうならない為にはお客さんが絶対に必要。

「だから、あたりまえだろ」

って思いますよね。
だったら、お店を始める前から来てくれるお客さんを確保しておきましょう。

やり方は簡単です。
チラシを作って挨拶周りにいったり、駅前でビラ配りをしたりしてお客さんとなりうる候補を集める。
またはその人達と友達になって、オープンしたら必ず来て貰う約束をつける。
SNSを利用して興味がありそうな人に必ず来てもらうようにする。 などです。

とはいえ、100%絶対にやらないと思いますが。

オープンしてから必ずやる事になるんですけどね。
忙しい中時間を割いてやるのか、忙しくなる前にやっておくのかの違いです。

おわりに

長々とお付き合い戴きありがとうございました。

現場目線で本当に必要なことを書いただけでもこんなボリュームになってしまって自分でもビックリしています。(笑)

前半は物理的に絶対に必要なこと、つまり「飲食店をスタートするなら最低限用意しなければならないこと」でした。
言い方を変えれば、これを用意しておかなければスタートすらできないという内容です。

後半は論理的に絶対に必要なこと。
スタートする事がゴールではなくて、飲食店として続けていくことがゴールなわけですから、その為に必要な考え方だったり技術だったりです。

で、むしろ後半の論理的な部分が固まっていないのに前半の物理的なことばかりに目が言ってしまいがちなのが開業準備期間だよなーと思っています。

でも絶対に断言できます。後半に書いてある「想い」「商人としてのスタンス」「心理学・コピーライティング」は本当に必要。もう絶対に必要。何度でも言いますが、絶対の絶対に必要です。

正直、お金を準備したり、営業許可を取ったり・・・なんてのは誰でも出来るんです。
誰でも出来るから、出来た時点でお店をスタートさせちゃう。
でもそこに「想い」がこもっていないからお客さんがつかない。お客さんがつかないから、結局辞めちゃう。そんな人達を何人も見てきました。(僕もやりました)

別に「他人に迷惑をかけるな」なんて言うつもりはありません。
ただ「自分に迷惑をかけるな」って思います。
想いがなく、出来るからとスタートさせて、すぐに辞めてしまっても、あなたの「お金」は必ず無くなります。そして大切なあなたの「時間」も無くなります。誰も保証してくれません。

あなたの将来の為に、あなたが出来ることをやって、あなたのお店をきちんと開業することをオススメします。

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