売れる商売人と売れない商売人の明暗を分けた一言とは?
以前テレビ番組で、実演販売のプロと素人の違いを見させて頂きました。
実演販売のプロはみるみる売れていくのに対し、
素人の実演販売は全く売れない。
同じ場所で同じ商品を売っているのに、です。
いったいなにが違ったのでしょうか。
Contents
「どうですか?お客さん!」と言わなかった
両者の明確な違いは「どうですか?お客さん!」と言わなかったことでした。
「たったそれだけのこと?」
って思うかもしれません。
もちろんそれだけではないと思うんですが、
この一言に込められる意味を考えると、とても大きな一言だと思えます。
では、この一言を言わなかったのはどちらだったと思いますか?
実演販売のプロか、実演販売の素人か。
答えは、
実演販売のプロの方です。
彼は一切「どうですか?お客さん!」って言わずにバンバン売ってみせたんです。
クロージングしないということ
実演販売の素人の方は、商品の説明を延々として、
最後に「良い商品だから、買ってくれませんか?」とでも言いたいのか、
「どうですか?お客さん!」と、すぐに言ってしまっていました。
これは営業マンで言うところのクロージング、つまり注文を確定させる為の一言。
通常はこうやって売っていくものだと習うのかもしれません。
が、実演販売を周りで見ていた人たちはこの一言が出た瞬間、どんな気持ちになったと思いますか?
実は「物を売りつけられそうになった!」って感じちゃっていたわけです。
それまではその実演、つまり商品の紹介をおもしろおかしく聞いていたわけなんですが、
「どうですか?」と言われた瞬間、「買うか買わないか」の選択を迫られてしまっていたということ。
人間は相手に強制的に物事を決めさせられるのを嫌がります。
本能的に「自分で選びたい」と思っている生き物です。
もし自分が何か物を買いに行った時に、そこの店員さんから
「これとこれがオススメなんだけど、どっち買うか10秒以内に決めてね。10・・・9・・・」
なんて言われたら物凄くストレスですよね。
ストレスが溜まるということは、買い物をしたくなくなる事にも繋がるわけです。
自分から買いたくなるまで魅力を伝えるだけ
実演販売のプロが見せた方法はその逆で、
見ている人が自分から「欲しい」って言い出すまで魅力を伝えつづけました。
魅力というのは、その商品を使って出来ることは当然ながら、
それが出来るとどんな良いことがあるのか?とか。
どんなに楽しい毎日になるのか?とか、そういうことです。
例えば、皮むきがとても楽だから、時間の節約になって自分の時間が増えて、こういうことができますよーとか。
全然力を入れなくて済むから、まるでゲーム感覚で使えて毎日それを使うこと自体が楽しみになっちゃうよとか。
見ていたお客さんはそんな話を聴いているうちに
「そうだよね・・・だったらこれがあると私はハッピーになれるよね!」
っていう気持ちにさせられたんじゃないかなと思います。
そのうち一人、また一人と「欲しい」と手にするようになり、
結局はその場で話を聞いていた人のほとんどが購入を決意するようになりました。
魅力を伝えても売れなかったら・・・?
そこで思うのが、「魅力を伝え続けても、売れなかったら意味がない」ってこと。
たしかに魅力を伝えるという労働をしたのに売れなかったとしたら、
その分自分が損したかのような気持ちになります。
でもどうでしょう。
魅力が伝わっても買わないという人は、そもそもその魅力以外の部分で買えない理由があるのかもしれませんし、その人に無理矢理勧めたからって買わないのではないでしょうか。
つまり、商品の魅力を伝え続けるということは、決して全員に物を売れるようになるという事ではなく、
「魅力が伝わりさえすれば『欲しい』と思える人に買ってもらう」という為の行為だということ。
逆を言えば、魅力が伝わっても買わない人なんてたくさんいるわけで、
その人たちには”何をしても売れなかった”というだけの事なんです。
そんな人たちに「どうですか?お得でしょ!?買いませんか?」なんて言ったって、買うわけがないです。
おわりに
飲食店でも同じことが言えるなーと思ったのでこの話を載せてみました。
新しいメニューを作った時、在庫をはけてしまいたい料理があったとき、
お客さんに直接「どうですか?」って言っちゃったりしてませんか?
その商品がどう素晴らしいのか、
そしてそれをオーダーしたお客さんはどんな良いことがあるのか。
それを伝えるだけ伝えたら、そこでおしまいです。
追記
ちなみに、「伝える」というのはなかなか難しくて、
ただ説明する事とはまた違うと思うんですね。
一方的にこちらが話して終わり、だと、やっぱり売れないんじゃないかと。
伝える、伝わる、というのはコミュニケーションの賜物ですから、
相手のことを知り、相手が得しそうな情報を与え、(それによって興味を持ってもらい)
その上で話すという事で初めて”伝わる”んじゃないでしょうか。
・・・本当になかなか難しいものです。
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