独立開業、出店するならスケルトンか居抜きか
2015/11/03
出店前に悩むことの一つに「スケルトンから理想の店を作り上げる」か「居抜きから理想の店を作り上げる」のどちらかを選ぶという事があると思います。
僕は断然「居抜き派」です
が、どっちにどんなメリットがあるのかをまとめました。
Contents
スケルトンのメリット・デメリット
スケルトンで開業するのにもメリットとデメリットがあります。
順に説明します。
スケルトンのメリット
スケルトンの一番のメリットは、「思い描いている店の形」を叶えられるところです。
「どこに厨房を配置して、どこにどう客席を配置して、どんな導線で・・・」が、思い通りに作れます。これは結構大きいメリットですね。
あとは仕上がりが綺麗なので、お客さん側からしても「新しい店が出来た!」って感覚が生まれます。
ただし、開店する時が一番綺麗な状態で、徐々に汚れていってしまうんですが、それでも1から育ててきた店ですから、愛着が湧きやすいと思います。
スケルトンのデメリット
デメリットは、とにかく費用がかかる事です。
例えば20坪ぐらいのところで出店するのに、工事の費用、保証金、前家賃、工事期間中の家賃、仲介料、設備代、食材費、運転資金諸々を入れて1,000万円は準備しておく必要があります。
僕は安い工務店を探して工賃を相当に下げさせた事がありますが、工事期間が延長してしまった事や、後々で必要な事がたくさん出てきてしまったりで、結果高くついてしまったという苦い経験があります。
なので、もしスケルトンで理想のお店を作りたいのなら、信頼できる飲食店に強い建築設計事務所にお願いするのが絶対にいいです。
安い工務店さんは飲食店の導線すら理解していない可能性があるので、オープンしてから大変な想いをする事になるので。(経験談)
[参考]成功者の話も失敗者の話も聞いて自分に生かしていく
居抜きのメリット・デメリット
では次に居抜きのメリット・デメリットです。
スケルトン派の人からしたら、全くメリットが感じられないと思うかもしれませんが、そんな事ありません。
居抜きのメリット
居抜きのメリットはなんと言っても費用がかからない事ですね。
20坪ぐらいの飲食店で造作譲渡(そのお店の設備や建具諸々の譲渡)が100~300万で売りに出てたりします。
スケルトンから考えたらありえない額です。
また、ほとんどの場合がそのままスタートできる形で売りに出ているので、看板だけ取り換えたらすぐにでもオープンできちゃうのも魅力です。
つまり「工事期間中の家賃が発生しない」ということ。
これ、かなり大きいですよ。
飲食店において地代家賃はかなり大きい割合を占めてくる経費です。
本来は売り上げの10%未満に収まるようにするのが理想ですが、例えば月300万売り上げる予定のお店さんで、家賃が月30万だと仮定した場合、もし工事に2か月かかってしまうとしたら、
“売り上げ0円なのにいきなり経費60万円”
という状態になってしまうんです。
これはあまりにも馬鹿げていますよね。
60万円を稼ぐ大変さを知っている人だったら、絶対にやりません。
何軒も出店していて資金に余裕があって、本当にこだわりの外観の店をやる必要があるなら仕方ないのかもしれませんが、自分の腕を試す為の最初の出店でいきなり60万円の出費ってなんなんだろう・・・って思いますよ。(笑)
居抜きのデメリット
居抜きのデメリットは、良くも悪くも「中古」ということ。
他人が使ったものなんて、絶対に嫌だ!という人には絶対に無理だと思います。
というか、そういう人は飲食店には向かないかもしれません。あなたの資産であるテーブルや椅子、お手洗いなんかをこれから他人がガンガン使っていくわけですから。
また、中古という事は物件によって状態がまちまちです。
結局は売主の決めた価格で売りに出ているわけですから、譲渡される設備の質が悪くとも、立地が悪くとも、ボロボロで油まみれの店内だったとしても高い金額で売りに出ている可能性もあります。(もちろん逆もあります)
下手すると前のオーナーが害虫や害獣の対策をしていなかった、なんて物件にあたる事もあるかもしれないですね。
なので、その辺りの見極めが必要だと思います。
居抜きの店って、結局前の店が繁盛してなかったって事でしょ
居抜きだと「前のオーナーが儲からなくて辞めた店だろうから、この場所じゃダメなんだ」って思う方がいるかもしれませんね。
その気持ちもわかりますが、その考えは危ないかもしれません。
なぜなら、あくまで立地は「そのサービス、商品、売り方がその土地にあっているかどうか」で判断すべきであって、「絶対に何でも売れる立地」や「絶対に何をやっても売れない立地」なんてものは存在しないからです。
これを理解していないと、「売れないのは立地のせいだ」と考えてしまいそうです。
成功は運のせいだが、
失敗は自分のせい –松下幸之助
売れないのは立地のせいではなく、立地に合わせて出店が出来なかった自分のせい。
僕はそう思うようにしています。
(※立地に合わせた出店と言っても業態の話だけではないので、「ここはダイニングバーが流行らなかったからダイニングバーはダメだな」とかではないですよ)
まとめ
どちらもメリット・デメリットがあるのですが、冒頭に述べた通り僕は断然「居抜き派」です。
やっぱりスケルトンから理想の形を作るのは一つの夢かもしれませんが、それってお客さんの方を向いていない場合が多いと思うんですよね。
自分の城を作りたいと思っているというか。
つまり、本当にあなたのお店に来る予定のお客さんは、あなたがスケルトンからお店を作ることを望んでいるのかどうか、ということ。
なので、お客さんを前提に考えた時に、「絶対にスケルトンから作り上げた何らかのスタイルがないと喜んで貰えない」「役に立てない」というのであればスケルトンから作り上げるべきだと思うんですが、そうでないのなら居抜きで十分です。
工事費に投資するはずだったお金を使って座り心地のいい椅子を揃えてあげるなどした方が何倍も喜んで貰えるんじゃないかと思いますね。
知り合いのシェフは「お客さんが使うものなんだから椅子とかテーブルに妥協しちゃいけない」と言って、そこに投資していたのを思い出します。
あとは定期的なクリーニング代や害虫駆除費に回すとかもいいですね。
さらに言うと、初めての出店であればなおさらなんですが、100%完成された店なんて作れません。
頭の中で100%と思っていても、結局はその土地で出店して、お客さんの話を聞いたりしながらその街の特性を掴んで、臨機応変にスタイルを寄せていく、みたいな事も時には必要です。
その頃には当初にこだわったドアの形状だったりトイレの位置だったりなんてのはほとんど気にならなくなってます。
ちなみに、外国の人は上手に居抜きをDIYして使っている例が多いですね。彼らは彼らのセンスがあるからかもしれませんが。
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料理通信2013年10月号の店づくりのネタ本なんかも参考になります。
人生は時としてこういう選択を迫られる時がありますね。分岐点というか。
僕は必ずそこで正解を選べる必要があるとは思いません。失敗は成功の階段の一つですから。
だから初めての出店なら特に、その店は自身の夢へのステップの1つに過ぎないと割り切った方がいいかなと。
でも、諸々を理解した上で、みすみす失敗を選ぶ必要もないですけどね。
あとはご自身の判断で。
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