飲食店を経営する時の原価率はいくらぐらいがいいのか
2016/04/30
飲食店を経営する時に切っても切り離せないコストの1つが、「食材原価」です。
いったいいくらぐらいが妥当なのか。考えてみました。
一般的な原価率
一般的な原価率は25%~40%ぐらいだと言われています。
つまり100万円売り上げるのに、25万円から40万円ぐらいは食材費ということ。
これ、“在庫を持たないビジネス”の人に話すと、必ず驚かれます。
例えばフリーランスのウェブデザイナーなんかは月の契約で100万もらったとして、
かかる経費って交通費と通信費と接待費。あと勉強用の書籍を買う費用ぐらいです。
でも飲食店主って、そこから40万持ってかれるわけですからね。
一昔前までは食材原価率30%を切る事が利益を出すセオリーのように言われていましたが、今は時代が変わりました。
「35%ぐらいまでは当たり前。お客さんを喜ばせるなら40%ぐらいは必要」
みたいな考えの店主が増えてきています。
ちなみに”俺のフレンチ”や”俺のイタリアン”など「俺の~」系列のお店は、原価率50%オーバーは当たり前で、物によっては95%なんて商品もあるそうです。すごいなー。
実際にお客さんが望んでいる額は?
じゃあお客さんが望んでいる原価率ってどれぐらいでしょうか。
飲食店を経営するならお客さんが望んでいる原価率か、それよりちょっと高い原価率で提供してお客さんに喜んで欲しいですよね。
個人的な見解
僕の個人的な見解では、
小さな飲食店の“お客さん”は、原価率なんか気にしてない
です。
むしろ原価が安くてもいいと思ってる。
もちろんその分売価も安いに越したことはないけれど、
自分が得られる価値の為に設定された価格なら納得している。
さらに言えば、その業態によっては“価格が高い方がいいと思っている”お客さんが存在する可能性もあります。
どういう事だと思いますか?
飲食店は価値を売っている
僕は、飲食店は料理を売っているのではなく、価値を売っているのだと思っています。
正確には、料理というツール(道具・武器)を使って、価値というゴールを売っているという意味です。
商売の基本は誰かの役に立って、その代わりにお金を貰うことです。
飲食店が誰の役に立っているのかを考えた時に、
「時間がないから早くパッと食べて出て行きたい人」だったり
「お金がないから出来るだけ安くご飯が食べたい人」だったり色々あると思いますが、
小さな飲食店に限っては
「そこに行く価値があると思っている人」
の役に立っているはずなんです。
自分の役に立つ商品やサービスなら、それに見合った金額を払う事は苦ではありません。
それが例え原価率10%だったとしてもです。
現に僕はスーツの原価を知りませんが、数万円叩いて買って満足しています。
iPhoneの原価を知らなくても、価値があって、自分が欲しいから買ってしまうんです。
そこに不満はなく、むしろ欲しい物を手に入れた喜びが残ってますよね。
そういう意味で、あなたの店の“お客さん”は、売価に比べて原価が圧倒的に安くても気にしていないはずなんです。
逆に、僕にとって全く必要のないもの・・・例えばクッソ不味いラーメンとか。
もしこれが原価50%だったとしても僕には何の価値も何の魅力もないんです。
という事は、例え原価率99%だったとしてもそのラーメン屋には食べに行かないわけですから、僕はその店にとっての“お客さん”ではないわけです。
“お客さん”じゃないんだから、原価なんて関係ないんです。というか、どうでもいい。
何が言いたいかというと、結局は誰を見て原価率の話をするか、ってことだと思うんです。
あなたが来て欲しいお客さんが、あなたの店の価値を「価格によってもたらされるもの」だと思っているのなら、圧倒的な原価率の高さでもって「品質の割に安い」っていう店を作るのもありだと思います。これが前述の「俺の~」のやり方ですね。
ちなみに僕の店は原価率が30%割るか割らないかぐらい。
商品によっては20%を割るものもありますが、“お客さん”は喜んでくれてます。
まとめ
お店に来て欲しいのはあくまで“お客さん”であって、「原価率が99%ならいくわー」みたいな人に来て欲しいのではないはずです。
だったら、あなたの“お客さん”が喜ぶ価値を提供して、それで店が存続できる原価率に設定すればそれでいいのではないでしょうか。
“お客さん”からしてみたら、今数10円や数100円安く食べられることよりも、今後何年も店が存続してくれた方が嬉しいわけですから。
※あくまで総合的な原価率の話です。一品ごとの価格設定についてはまた別の機会に。
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