自分の店を見るのか、他店を見るのか?
2016/11/29
よく、飲食店経営の指南書とかで「他店を見るより自分の店をもっと見なさい」とか、
「自分の店ばかり見ていても成長しない」とか書かれていることがあります。
これ、どっちが正しいんでしょうか。
こういう「○○しなさい」っていうヤツはたいてい真逆のことを言っている人が存在していて、どちらを信じたらいいのかわからなくなります。
僕なりの答えとしては「どっちも見なきゃダメだろjk」ってところです。
Contents
なぜ他店ばかりを見ていてはいけないのか
飲食店を経営していて、売り上げが伸びなくて悩んでいる店主さんのうち何割かは、よく近所のお店を覗きに行ってませんでしょうか。
僕はよくやってました。
とくに自分のところと同じぐらい”売れてない店”を見に行って、「よしよし、今日はあの店も売れてないぞ」ってホッとしてたんです。
でもこれ、冷静に考えたら何の意味もない行為ですよね。
僕はそう気づいてからやめましたw
他所の店が売れたからあなたのお店が売れなくなるわけではないですし、当然その逆でもありえません。
売れている店を参考にしてもダメ
今度は逆に、地元でめちゃくちゃ盛り上がっているお店に食事に行き、なんで売れているのか掴んでやろうとしました。
で、これは確かに勉強になるんです。
売れているお店はやっぱり売れているだけの理由があります。
めちゃくちゃ悔しいけれど、売れている店の売れている理由を分析することができれば、なんとなく自分の店が売れていない理由も見えてきます。
ただ、それをそのまま自分の店に当てはめたって売れるわけがありません。
同じ店なら、慣れている方へ行く
その理由の1つは、「だったらそっちの売れている店に行くわ」ってお客さんは思うから。
吉牛がある町で、同じような牛丼を提供するお店が同じ接客、同じ価格で出店したら、あなただったらどちらに行きますか?
おそらく「どっちでもいいや」って思うのではないでしょうか。
そして「どっちでもいい」からこそ、多くの人は行き慣れた吉牛の方に足が向いてしまうものです。
そもそもの原資が違う
もう1つの理由は、リソースが違うから。
つまり経営するのに必要な資源がそもそも売れている店とあなたのお店では違うわけです。
たとえば従業員一人のパフォーマンスをとってもそうですし、食材の原材料やクオリティ、経営をするにあたっての余裕さなどが全然違います。
これはどちらが優れている劣っているという話ではなく”違う”ということです。
「ワンピースとドラゴンボール、どっちが面白い?」と聞かれても、「いや、どっちも面白いし、別モン」って思いますよね。
もしそう思わないのであれば、それは両者の”違い”を理解していないということ。
あなたのお店と売れているお店にも必ず”違い”があります。
ワンピースが売れているからと、新人作家がワンピースを真似た作品をリリースしたとして、あなたは果たしてそれを読みたいでしょうか。
他店ばかりを見ていても気づけない”他店と自店との違い”は、自店をしっかり見なければ気づけないものです。
なぜ自店ばかりを見てもいけないのか
では自店をよーく見ようと、自店にばかり目を凝らすとどうなるか。
僕の場合、一時期自分の店ばかりを見ていて、世間の流れについていけなくなったことがあります。
もちろん必ずしも流行を追わなければならないというわけではありません。
ただし、あなたのお店を利用する多くの人は流行に左右される人たちです。
これは何も、「他所がグラスワインを100円で提供しているからウチも100円にしなきゃ!」というような話ではないんです。
価格競争はそれこそ売れているお店には適いませんから。回転数が違いますし。
じゃあ何か?というと、世の中の流れの中にある自分の店がどういう状態なのか?を把握するということです。
世の中の流れの中にある自店、とは
あまりうまいたとえが思いつかないんですが、ちょっと想像してみてください。
昔は町にたくさんあったのに、今はもう全く見なくなった、もしくは遺産的な感じで残っている飲食店ってありますよね。
「ここ、どうやって成り立ってるんだろう・・・」って思えるようなやつ。
ああいうお店は、もちろん一定のファンがついているのは否定しませんが、
時間の流れ方がお店の外と中で違うのではないかと思うんです。
僕らはあくまで、大きな”世の中”という流れの中にある小さな”一店舗”であることを理解しなければダメで、この大きな流れから外れてしまって生きていくことは困難なはずなんですね。
たとえば、マクロ経済・ミクロ経済のような感覚で考えるとわかりやすいと思うんですが、
家族の中で長男だけがお小遣いを大量にもらって小金持ちだったとしても、家族全体の収入が少なかったら生きていけませんよね。
また、ある特定の家族だけが裕福な暮らしをしていても、国(社会)が貧困であれば生活には困ることになります。
それと同じように、自分のお店の中だけが”自分目線で”どれだけ良くなっても、社会の流れに沿っていなければ”社会の目線で”は良い店とは言えない可能性があるということです。
また、閉鎖された空間についた一定のファンは、年齢を重ねるごとに(引っ越し、老衰などで)減っていくことはわかっています。
必ず新規のお客さんというのは毎月コンスタントに獲得していかなければいけません。
おわりに
というわけで、他店だけを見てもダメ、自店だけを見てもダメ。
つまりは両方ちゃんと見なきゃダメということになるわけですね。
「それでもどちらかと言えばどっち?」
と言われても、僕は「どっちも。」と答えます。
「下ごしらえと調理、サボるとしたらどっち?」
とお客さんに聞かれていると考えてみてくださいw
同様に「調理と宣伝と掃除と接客と・・・サボるならどれにする?」と聞かれている感じです。
どれもお客さんに関わることだからサボれませんよね。
なんとなく今日はそんなことを考えた、というお話でした。
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