顧客満足度は顧客の期待値からの相対で決まる
2015/11/03
顧客満足(こきゃくまんぞく、英: customer satisfaction, CS)または顧客満足度とは、人が物品を購入するとき、その物品に感じる何らかの満足感のことである。
–Wikipediaより
あなたのお店のお客さんが、あなたのお店の料理やサービス(接客・空間)に対して、満足したかどうかの指標が顧客満足度です。
飲食店のみならず、色々な企業でも「顧客満足度を上げよう!」という働きがありますね。
中には「CS向上部」のような部署がある会社さんもあるぐらいです。
ではこの顧客満足度って、「絶対的な数値」なのでしょうか。
顧客満足度は相対的な数値
僕は絶対的な満足度はありえないと思っています。
つまり、「誰がどんな状態で利用しても100%満足できる商品・サービス」なんて存在しないと考えているということです。
とは言っても世の中の全ての商品やサービスを知っているわけではないので、もしかしたらあるかもしれませんが、少なくとも僕の身の回りでは存在していません。
また、今は物が溢れている時代ですので、世の中の多くの商品は類似品があるのが常です。
[参考]ジェネレーションギャップから需要を知る
その場合、絶対的な評価ではなく、比べてしまうのが人の性ではないでしょうか。
例えばiPhoneとAndroid機。
どちらもスマートフォンで、どちらも同じような事ができる言わば類似品です。
僕は大満足でiPhoneを使っていますが、Android派の人からしたら満足できない仕上がりだったり高価格だったりするわけです。
でもその満足度を計る際には必ず「Android機に比べてiPhoneは高額だ」とか「Android機の方がiPhoneより色々いじれる」だとか言った比較が出てくるものです。
もしAndroidが存在していなかったとしても、「ガラケーに比べてiPhoneは直感的じゃない」とか言う人が出てくるかもしれなかったですね。
なので、僕の結論では顧客満足度は相対的な数値です。
“何か”に対して、満足度が高かったか低かったか。
お客さんはそういう基準で満足度を決めていると思います。
期待値と大きくずれるから満足度に影響する
お客さんが満足度を決める基準となる“何か”。
それは「期待値」ではないでしょうか。
例えば「ガラケーに比べてiPhoneは直感的じゃない」という話を例にすれば
「iPhoneはガラケーよりも便利になるだろう」という期待値があったんだと思います。
その「便利」という部分が、ある人にとっては「ガラケーより直感的だと便利」という期待だった時、実際に体験してみて期待値より満足できれば「満足度が高い」になるわけです。
つまり、提供する側が打ち出している「売り」や「実際の商品」からお客さんが感じる「期待感」のマッチングがうまく計れているかどうか。
そして、そのマッチングが取れた上で、期待値よりも満足できたかどうかが「顧客満足度」だと言えます。
飲食店で言えばどういうことか説明します。
どこよりも安いステーキハウス!の場合
「どこよりも安いステーキハウス!」とキャッチコピーがついたお店があった場合、あなたはどんなお店を期待しますか?
お客さんによっては
- 吉野家やマックよりも安い(どこよりも安い商品)を提供しているステーキハウス
- どんなステーキハウスよりも安いステーキ(原価も安い)を提供しているステーキハウス
- 原材料や商品の品質を考えた時にどこよりも安いと感じられる(実際には高価であっても)を提供しているステーキハウス
「どこよりも安い」にも、これだけの期待感を持つ事が予想されませんか?
もし吉野家より安い事を期待して来店したお客さんが「ステーキ1,000円」と見たら満足度はどうでしょうか。
おそらく「高い!」と言って満足度は低くなると思います。
どんなステーキハウスよりも安い事を期待して来店したお客さんが「ステーキ1,000円」と見た時は、一見満足度が下がる事はないかもしれませんが、提供している商品が(極端な話)「豆腐ステーキ」だったらどうでしょう。
「確かにステーキだけれども。」と、なんとなく騙された感じになりますよね。
もちろん豆腐ステーキじゃなくても、出所がわからないガッチガチに堅い、薄っぺらなビーフステーキだったら・・・満足度は低そうですよね。
原材料や商品の品質を考えた時にどこよりも安いと感じられる事を期待した場合、適度な味付け、焼き具合の和牛シャトーブリアン300gが3,000円で食べられるお店だったら、一見「3,000円のステーキ・・・ちょっと高いかな」って思う人がいそうではありますが、「シャトーブリアンで300gで3,000円!?」と、満足度が高い人が多そうなのは想像に易いです。
以上のことから、お店側がどう打ち出して、どう理解してもらって、何に期待して貰って来店してもらうかで満足度は変わるという事が言えるのではないでしょうか。
つまり、期待値と比較して満足度を計るという事です。
おわりに
多くのお店さんが、このマッチングをうまく図れていないように感じます。
普段使いして欲しいのに高級感を演出していたり、
料理を食べて欲しいのに趣味を全面に打ち出していたり、
ちゃんと努力して研究開発したり仕込みに時間をかけているのにファミレスと値段で争ったり。
お客さんがあなたのお店に何を期待しているのかを知り、あなたが何を与えられるのかをキャッチコピーで表してマッチングさせて行く事が重要です。
ちなみに、
ガッチガチのアメリカ産ビーフ(チョイスグレード)を5,000円で売って高い満足度を得る方法ってあると思いますか?
これもターゲッティングとキャッチコピー次第で可能だったりします。
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