閉店を考えた時のチェック事項
2016/02/19
飲食店を経営していて、どうしてもうまく行かない時には閉店も視野に入れる必要があります。
ただ、閉店だと思っても、明日いきなり終わりにする事はなかなか難しいです。
閉店時のチェック事項をまとめました。
- 退去時の契約を見直す
- 解約申請をするか否かを決める
- (場合によっては)店舗買取(M&A)系の業者に依頼する
Contents
退去時の契約を見直す
テナントを入居する際に結んだ契約の契約書類が保管してあると思います。
その書類に、退去時の契約も記載してあるはずですので確認しましょう。
特にポイントは、
- 解約申請を提出してから何か月利用しなければならないか
- 退去時の物件の状態について
- 保証金の扱いについて
の3点です。
解約申請を提出してから何か月利用しなければならないか
テナントの契約は、解約申請を大家さんに出してから数か月は解約できないようになっています。
僕の店の場合は6か月でした。
これは、大家さんがその間に次の入居者を探す為に設けてある期間なんですね。
だから場合によっては「翌月に次の人が決まれば解約でもいいよ」なんて事もあり得ます。
「もう辞めだ!」って思っても、少なくとも半年は家賃が発生してしまうと思うと悩みますよね・・。
仮に家賃20万円としたら120万円は用意しておかなければなりません。
退去時の物件の状態について
退去時に物件をどの状態にするかの約束も書かれています。
だいたいが「スケルトン返し」の記載のはずです。
あなたのお店用に設置した壁だったり床だったり、排水管だったりを
全て撤去した状態で大家さんに返却するということです。
その際にかかる費用が(業者さんにもよりますが)坪×10万円ぐらい。
20坪のお店さんで200万円といったところでしょうか・・。
ただしこれも、次の人が「そのままでいいです」と言ってくれれば、必ずスケルトンにしなければならないというわけではないです。
結局は大家さんが次の人を探すという事の保険なわけですね、これも。
※場合によっては次の人が決まってからスケルトンにする、などでもOKなこともあります。
保証金の扱いについて
入居時に保証金として、だいたい6か月から12か月分ぐらいの家賃を別途納めているはずです。
これは通常の住居賃貸における敷金と同じ扱いなので、退去時の諸々の費用に充てて貰えるはずです。
なので、上記の解約申請~解約までの期間の家賃やスケルトンに戻すお金はここから捻出できるはずです。
一応確認しておきましょう。
解約申請をするか否か決める
上記の通り、解約申請をしなければ解約できないのが基本です。
が、解約申請をするということは、
逆に、解約までの期間または次の入居者が決まるまでの期間は営業を続けるということ。
その間はかなりツライです。
というのも、もう辞める事が決定しているので、
集客などに力を入れる気力も起きませんし、もちろんサービスの質も落ち気味になります。
ということは、おそらく新規のお客さんはあまり増えないでしょう。
それでも常連さんは来てくれたりするので、閉めるわけにもいかず・・・みたいな中途半端な状態になる事が想像できます。
最終日なんか、常連さんが「おつかれさまでした!」って集まってくれたら、それはそれで嬉しいかもしれないですけどね・・。
「とはいえ、解約申請しないことにはいつまでも辞められないじゃないか」
そう思うかもしれません。
そんな時に、店舗買取サービスを利用するのも考慮してみて下さい。
店舗買取(M&A)系の業者に依頼する
世の中には、まだまだ飲食店をやりたい方がたくさんいます。
その方たちは、出来るだけ費用をかけずに参入したいと思っています。
そんな方達の為に、居抜き店舗系のマッチングサービスが多数存在しているんですね。
などなど。
これらのサービスに連絡を取って、あなたのお店で飲食店をやりたい人を探してもらう事が出来るんです。
さらには新しく始める方があなたのお店の設備すらも利用したいのであれば「造作譲渡」という契約で買ってもらう事もできるわけ。
店舗を買い取って貰えるイメージなので、解約申請しなくとも、スケルトンにしなくともOKな点が魅力です。
店舗買取の注意点
店舗の買い取り系サービスを利用する際にも注意点があります。
それは
- 大家さんへの通達
- 従業員への通達
- 顧客へのイメージ
- 売れなかった場合
です。
大家さんへの通達
当たり前ですが、今現在あなたが借りている店舗ですので、勝手に他人に売るわけにはいきません。
あなたが売れるのはあくまで「造作」、つまり設備等であって、物件の賃貸の権利は大家さんにあります。
ということは、あなたのお店を買ってスタートしたいという人が現れても大家さんが納得できなければその話はなかったことになってしまうんです。
まず先に、大家さんに「こういう理由で店舗の売却サービスを利用する予定なのですが、大丈夫でしょうか」のように連絡しておきましょう。
従業員への通達
店舗買取サービスを利用するとサイトに掲載されたり提携の不動産会社に情報が流れたりします。
そうなると、中には直接店舗に来て「この店売ってるんですか」なんて質問をぶつけてくる人がいないとも限りません。
その際、従業員への通達が出来ていなければ、従業員からしたら寝耳に水ですよね。
少なくともそこから数日~数か月は続けてもらうわけですから、不信感を持たれないように通達しておく必要があります。
顧客へのイメージ
同様にどこから顧客に情報が漏れるかはわかりません。
何しろ公に売りに出すわけですから。
「あの店売りに出てるんだってよ」なんて噂が広まるのも時間の問題かもしれません。
売れなかった場合
店舗買取系サイトに掲載してもらったからって、必ず売れるわけではありません。
立地、価格はもちろんの事、時期、形態、広さ諸々が借りたい人のニーズにあっていなければいつまでも売れ残ります。
※造作譲渡価格が0円でも売れない店だってあります。
その場合、解約申請を出していない限りは売れるまでずっと続けなければなりません。
まとめ
飲食店の辞め時は「辞めたい」と思うような時が来てからじゃ遅いのかもしれません。
常日頃から数か月先を見通して、どういう状態に転んでも大丈夫なような状態を作っておく必要がありますね。
例えば、「どうやら今の戦略で半年続けても変わらなさそうだな」って思ったら、とりあえず店舗買い取りサービスに出しておいて、営業を続けてみて、上向きになったら取り下げてもらうとか。
半年やってもダメなら初めて解約申請出して、そこから半年は続けるとか。
営業しているうちから辞める話をするのも嫌ですが、考えておくべき事項ではあると思います。
逆に売れているお店さんを辞める場合は、M&Aという企業の売買によって数千万で売れる可能性もあります。
できればその状態にもっていきたいところですね。
追記
飲食店の「夜逃げ」も後を絶たないそうです。
おそらく、急な閉店に追い込まれて、解約までの期間を続ける余力だったりスケルトンに戻す資金が確保できなかったりして、仕方なく逃げるようにそこを去るしかないのかなと思います。
約束を破って逃げる人が一番悪いに決まってますが、僕は大家さんなどの貸す側ももう少し密に連絡を取るなどして状況を見て欲しいなと思います。
僕の場合、経営がうまくいかなかった時に大家さんに相談して、少しだけ家賃を下げてもらう事が出来ました。
もちろん経営改善の計画書を持って伺いました。
賃貸物件飲食店の家賃を大家さんに下げてもらう方法。
大家さん側としては、本来は元々の家賃でやってて欲しいとは思いますが、
夜逃げされるぐらいなら家賃を下げてでも長い期間続けて貰った方が大家さんとしても助かるはずですよね。
その辺りの相談を出来る環境がもっと多ければいいんですけどね・・
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